今回は、厚生労働省の改正情報をもとに、2028年10月1日から施行される「雇用保険法」の改正について、適用拡大のポイントと実務上の留意点を中心に解説します。
1. 2028年10月からの雇用保険適用拡大の概要
雇用保険制度については、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築などを目的として、法改正が行われます。
その中でも大きな柱となるのが、雇用保険の加入要件(適用範囲)の拡大です。
加入要件の変更点
・現行(2028年9月30日まで):
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・同一の事業主に引き続き31日以上の雇用見込みがあること
・改正後(2028年10月1日以降):
・1週間の所定労働時間が10時間以上に変更
・同一の事業主に引き続き31日以上の雇用見込みがあること(※学生等の一部例外あり)
これにより、これまで週20時間未満として雇用保険の適用対象外であった短時間労働者(パートタイムやアルバイト等)についても、週10時間以上であれば新たに雇用保険の適用対象となります。全国で約400万〜500万人規模の対象者拡大が見込まれています。
※季節的雇用者、昼間学生、船員等の除外規定の変更ありません
2. 短時間労働者に関する算定基準の緩和等
厚生労働省の案内によると、今回の適用拡大に伴い、短時間労働者が制度の恩恵を受けやすくするための見直しも行われます。
①被保険者期間の算定基準の緩和:
現行では、雇用保険の被保険者期間として1ヶ月をカウントするためには「賃金支払基礎日数詞が11日以上」または「労働時間が80時間以上」が必要ですが、短時間労働者の実態に合わせ、要件の引き下げ(緩和)が行われます。
具体的には、賃金支払基礎日数が 6日以上 または 労働時間が 40時間以上 ある月 となります。
②各種給付の対象拡大:
週10時間以上勤務により被保険者となることで、条件を満たした場合には失業給付(基本手当)や育児休業給付金、教育訓練給付金などの受給が可能となります。
③失業認定基準の緩和:
現行では、1日の労働時間が4時間以上の場合は、「就職・就労」、1日の労働時間が4時間未満の場合は、「内職・手伝い」として扱い、失業給付が調整されます。この時間が2時間となります。
⒊ 企業(事業主)における実務上のポイント
適用対象者が大きく広がるため、企業側におかれましては施行に向けて以下の準備が必要となります。
①対象となる労働者の把握と労務管理
自社で働くパート・アルバイトのうち、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の層を洗い出し、対象者を正確に把握する。
②雇用保険料の徴収と納付の準備
新たに加入対象となる労働者について、事業者負担分および労働者負担分の雇用保険料の給与控除・納付事務が発生するため、給与計算システムの確認等を行う。
③資格取得手続きの確実な実施
2028年10月1日以降、要件を満たした従業員について、速やかにハローワークへ資格取得届を提出する体制を整える。
⒋ おわりに
施行時期は2028年10月1日とまだ少し先ではありますが、対象者が非常に多いため、事前の労働時間の確認や社内体制の整備が重要となります。
当事務所では、厚生労働省の最新の通達や法令改正に伴う実務上のご相談に対応しております。ご不明な点などがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。